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『吉田松陰の家族観』
【2020/05/08 20:54】 エッセイ
【家族を大切にしていた松陰】

この記事は、女性週刊誌の記者から、インタビューを受けて、語ったものが記事にされたものです。

 NHK大河ドラマ親のこころ若い楫取美和子松陰の妹 壽


『花燃ゆ』で、いまあらためて注目される吉田松陰と、その家族・杉家。ドラマではこれまでのところ、幕末という緊張感みなぎる時代に、まるでホームコメディのように温かく描かれている松蔭とその家族。実際の杉家も江戸時代とは思えぬ、おおらかな家風の家だったという。



 松蔭大学の客員教授で、長年、松蔭を研究している長谷川勤さんがこう解説する。
「人間とは皆で力を合わせて幸せな生き方を目指すもの、というのが松蔭の持っていた人間観。あの時代にそういった考えに至れるというのも、杉家の家風によるものが少なからずありました。松蔭は安政元年(1854年)、妹・千代に宛てた手紙のなかで、婦道=女性の生き方をといています。すでに嫁いでいた千代に、杉家のよいところを忘れるな、という思いを込めたのです」
 それが、吉田松陰「母の道」7カ条だった。
一、子どもの教育について母の教えというものを軽んじてはいけない。
二、子どもがお腹にいるときに言葉遣いや立ち居振る舞いに心を配れば、優れた子が産まれる。
三、氏より育ちというたとえもある。子どもを育てるのはそれほど重要な役目だ。
四、代々の先祖を敬いなさい。
五、嫁ぎ先は自分の家なのだから、夫の家の先祖も大切にしなさい。
六、親族が睦まじくすることが大切である。
七、夫人の言葉から親族が不和になることが多い。忘れないように。
 男性絶対優位の家父長制が敷かれた江戸時代に「母の教えを軽んじるな」と説く松蔭。コラムニストのペリー荻野さんは「そこが松蔭の新しさですよね」と話す。
「松蔭はお母さんが大好きだったんですよ。だからこそ、生涯独身の彼が、妹に婦道を説くこともできたんでしょう。ドラマでは、檀ふみさん演じる母・滝は折々で口癖のように『世話ぁない(どうってことない)』と、いい味をだしてますけど。まさに、あの母の柔らかさが杉家の家風そのもの」
 前出の長谷川さんは、次のように語る。
「千代への手紙で婦道を説いた松蔭ですが、大河ドラマのヒロイン・文にも、彼女が嫁ぐ際に言葉を送っています。『お前は年も若く、優秀な夫に比べ知識も劣る。だが、心配はいらない。そのぶんこれから勉強すればいいんだ』と。松蔭は女性の学問の必要性を、この時代、すでに訴えていました。その点だけを見ても、いかに進歩的な考えの持ち主かがわかると思います」

吉田松陰がこのように妹達に諭したのは、「自助努力」、則ち人はその境遇に適応しながら生きるのであるが、そこに、いつも自分がよりよく生きる(松陰の場合は、世界の国々のなかで、日本が誇りを持って生きる)為に、国民一人一人が、懸命に努力して、経済的にも、文化的にも、高い水準のなかで素晴らしい日本を創ろうとの切なる願いがあったのである。
武力で制圧される「香港」の生き方は、日本人はしてはならないという、切実なる願いが吉田松陰の願いであったのです。そのためには、自分の命は、万が一捨ててもかまわないという殉国精神があったのです。


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