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運命の東北旅行出発
【2011/05/15 11:00】 エッセイ
前年の鎮西旅行で大きな収穫をえた松陰は、翌嘉永四年一月、藩主の参勤交代と共に江戸遊学することになる。中谷正亮と一緒に、江戸へと向かう。
江戸での成果に期待はしたものの、江戸の大先生方は學問を商売としていて、期待外れにやや気落ちしたようだ。ただ佐久間象山のみは、違った。入門の時に正装をしていなかったことで「門前払い」に近い、出直しを要求されてしまう。再度出直しで入門を請い、許可を得る。偶々、鎮西旅行で知り合った宮部鼎蔵も江戸に来ていて再会。薩摩の藩士からの情報では、ロシア人が南下して、略奪を重ねている由。
竜飛岬24.5.9

では、北辺の守りを視察に行こうということになって、七月に藩から内諾を得た。ところが直前になって、「過所手形」が交付されていないことに気付く。藩邸では出発時期を延期せよという。さらに、南部藩の江幡五郎が兄の仇討を遂げたいことから、途中まで一緒に行くことになる。
東北地図


約束はしたものの、肝心の過所手形が間に合わない。無許可のまま、出発すると「脱藩行為」と見做され、藩士として最も許されないことになるが、約束もある。板挟みの状態で出した松陰の結論は手形なしのままでの出発である。



悩んだ末の結論だが、これが兄の梅太郎に書簡を出しているのが残されているので、下記する。(全集第七巻:116頁、嘉永四年十二月十二日)
江戸の旅人吉田松陰24.3.25


十二月十五日は赤穂義士志を遂げし日なり。吾れ宮部・安藝二子と東行発軔を約するに、是の日を以てすること已に久し。十五日の前數日、過書のこと起る。自ら誓って曰く、「官倘(も)し允さざれば吾れ必ず亡命せん。假令今日君親に負くとも、後来決して國と家とに負かじ。君は燕恵に非ず、親は薛某(せつぼう)に非ずと雖も、楽毅・薛包を之れ為さんのみ」と。既にして佐世太夫に説く。太夫曰く「且(しばら)く手元と議せん」と。手元曰く、「過書なくして境を越ゆ、萬一事あるも、確乎として松平大善太夫の家臣吉田寅次郎と称するを得ざれば、口未だ開かずして膽先づ餒(う)ゑん。安んぞ長州を辱めざるを得んや。縦ひ百千の故事ありとも公許を得るに非ざれば、断じて擅(ほしいまま)に允すべからず」と。太夫も亦其の論確くして志堅なる如きものなく、遂に事を以て國に首(もう)す。而して吾れは則ち自ら誓ひし所を行ふ。君親に負くを顧みざるには非ず、丈夫の一諾苟もすべからざればなり。夫れ大丈夫は誠に一諾を惜しむ。區々の身は惜しむに足らず。待つに國體を辱むるの罪を以てするも辞すべからざるのみ。
   辛亥臘月(月)十二日                    吉田大次郎

佐世主殿宛    十二月十三日
舌代
この度の一儀に付き、再應尊顏を拝し候事覺束なく存じ奉り候故、山鹿素行著述一冊進上し奉り候事。
臘月の中三                     不忠不孝 吉田大次郎百拝
佐世太夫 執事

※ 燕恵・楽毅・薛包=中国古代の人物
※ 丈夫=男子
※ 佐世主殿=長州藩の老臣
※ この度の一件=東北遊亡命の一件

これを讀むと、論理が倒錯している、つまり約束を優先させ、藩の許可なければ亡命覚悟といっている。しかも、相談した佐世主殿に、わざわざ書置きまでしている。不忠・不孝をする吉田寅次郎拝 と最後に記している。結局、赤穂義士の仇討成功に因み、同行する江幡五郎の仇討の成就を願って出発したのが十二月十五日となった。藩主を裏切る、当時の武士(藩士)として最も禁忌に觸れる行為をしたのである。これは、打ち首になっても文句の云えない背信行為である。問題は、なぜこのような擧に出たかである。
全集では、これを具体的に語ったり、著述していない。だが、長崎でオランダの軍艦を視、また「アヘン戦争」の情報から判断するに、山鹿流や日本の軍学では世界に通じないという判断があったに違いない。
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