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松下村塾④
【2011/05/18 08:47】 エッセイ
吉田松陰の人気が、衰えるどころか益々増大している。何故かと、いつも自分に問う。社会にも問われているのだと思う。
昨年も、何冊かの松陰研究書、または吉田松陰の伝記的書物の多くが刊行され、あちこちで吉田松陰に関する講演会が開かれている。
私も、仕事の性質上、関心を抱かざるを得ない。「吉田松陰の人気は、日本の歴史上指呼に入るのみならず、常に上位を占め続けるに違いない」。と、その衰えることのない人気ぶりと同時に「多くの支持者」が常に存在することを指摘した研究者が云っている。
確かに、この指摘は正しい。
吉田松陰と高杉晋作24.3.25

しかし、残念ながら読み易い研究書や伝記の刊行は後を絶たないが、原典に立ち向かうとなると、これはもう、「根気と忍耐」を大変に必要とする。それは、難しいのである。現代の「何事も素早く、合理的に」という考えでは、とても実現できないのである。つまり、ダイジェスト的に理解することは困難で、その上に奥深いのである。吉田松陰全集が過去に三度刊行されているが、それには「訳」があるのである。
昭和九年に刊行された『定本版』の第十巻の編集後記に、記されているが時代性も考え合わせないといけないと思う。


いわゆる戦後生まれの者にとっては、松陰全集は越えがたい難しさがあるのである。難解すぎるといった方が、より正しいかもしれない。
試みに、原典を「ワード」か「一太郎」で入力してみるとよい。変換のきかない難しい漢字が次々と出て来る。たとえば「松下村塾記」にルビを施して、全文を入力してみると、それがどれほど困難なことかが体験的に解かる。労力と時間と根気が大変なのである。
おそらく、長文の「幽囚録」や「回顧録」の全文を入力するだけで、精力を使い果たしてしまうだろう。時間に追われながら、仕事をする現代にとっては至難の業である。そして、その松陰精神とでもいうべきものを自家薬篭中のものしようとしたら、不可能と云いたくなるような思いにかられるのである。

それは、さておいて、どうして松陰の人気が依然としてあり続けるのであろうか? 私は、「人間学」あるいは「人間とは何か」、「国家とは何か」を教え、その根本的な問題提起をしていることを理由に挙げたい。これは、極論すれば人間の存在と共にあり続ける永遠の課題ともいえよう。人間一人一人が、必ず問い続け、正解が求めにくい高いハードルでもある。世代を超えて、問い続けられるものと考えられるのである。人生に懐疑の心が芽生えた時から、30歳に満たない、完全燃焼した松陰の生きざまと、その人生行路に限りない魅力と知的欲求を喚起せざるをえないからだろう。ことば巧みに説明しても、しきれない「何か」が常に存在するもののようである。松陰研究の泰斗である、海原徹先生が、「吉田松陰」のあとがきで、これに似た感慨を語っているのが印象的である。

未完成の人間が、必死に生きて、身を以て教えたところが「松下村塾」なのである。そうして、学ぶ者もまた大いなる若者なのである。だから松陰は、教えを乞うものに対して、「教えることはできないが、共に学ぶことは出来る」だから「一緒に学ぼう」と塾生に呼びかけたのである。何と謙虚なる人物かと、感嘆させられてしまう。こうした松陰の人間性故に、塾生も必死に求め、学ぼうとしたに違いない。「師弟同行」の姿に、限りない共感を喚起せずにはおかない。しかも、「私心」でなく「日本の為」という大義名分や、その「公の心」が私たちの魂を刺激し続けるのである。
「人間とは」という問いを発する現代人にとって、求めても求めきれないものを松陰は持っている。それが私たちを魅了し続け、「汲めども尽きせぬ」松陰先生という若き青年の姿なのだろう。「松下村塾」とは、そうした未知への知的挑戦と、自国を外敵から防衛し抜くという使命感にかられながら師弟がともに求め合った学塾だったと云えるだろう。それゆえに、粗末な小さな学び舎から、奇跡ともいえる教育効果を挙げ得たものと思われる。
明治期の国家指導者のみならず、各界にあって指導的に生きた人物を輩出したのである。
それは、教育者にとっては限りない研究対象となる。しかし、難解であり難問である。
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