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『講孟餘話』に見る「知行合一」観について②
【2012/07/29 21:44】 エッセイ
『講孟餘話』「萬章下・首章」全集第三巻・二一七頁)

安政二年(一八五五)十二月二十四日二十六歳

「孔孟箚記上下」

孟子曰く、伯夷は目に惡聲を視ず、耳に惡聲を聽かず。其の君に非ざれば事へず、其の民に非ざれば使はず。治まれば則ち進み、亂るれば則ち退く。横政の出づる所、横民の止まる所は、居るの忍びざるなり。 思へらく、郷人と處るは朝衣朝冠を以て塗炭に坐するが如しと。紂の時に當たりて、北海の濱に居り、以て天下の清むを待つ。故に伯夷の風を聽く者は、頑夫も廉に懦夫も志を立つるあり。井尹曰く、「何れに事ふるとして君に非ざらん。何れを使ふとしてか民に非ざらん」と。治にも亦進み、亂にも亦進む。


(又)曰く、「天の斯の民を生ずるや、先知をして後知を覺さしめ、先學をして後學を覺さしむ。予れは天民の先覺者なり。予れ将に此の道を以て此の民を覺さんとするなり」と。思へらく、天下の民、匹夫匹婦も堯舜の澤を與かり被らざる者あれば、己れ推して之れを溝中に内るるが若しと。其の自ら任ずるに天下の重きを以てすればなり。柳下惠は汙君を羞ぢず、小官を辭せず。進みて賢を隠さず、必ず其の道を以てす。


遺佚せらるるも怨みず、阨窮すれども憫へず。郷人と處るも、由々然として去るに忍びざるなり。(曰く)「爾は爾たり、我れは我れたり。我が側に衵裼裸裎すと雖も、爾焉んぞ能く我れを浼さんや」と。故に柳下惠の風を聽く者は、鄙夫も寛に薄夫も敦し。

孔子の齊を去るや、淅を接けて行り、魯を去るや。曰く「遲々として吾れ行く」と。父母の國を去るの道なり。以て速かなるべくして速かにし、以て久うすべくして久うし、以て處るべくして處り、以て仕ふべくして仕ふるは、孔子なり。(註:楊氏曰く、孔子去らんと欲するの意久けれども苟めに去るを欲せず、故に遅々として其れ行しなり。膰肉至らざれば則ち微罪を以て行るを得。故に冕を税(ぬが)ずして行る。速かにするに非ざるなり。)
吉田松陰
 


智と聖と是れ全章の綱領なり。智は射の巧にして、即ち所謂致知なり。聖は射の力にして、即ち所謂力行なり。知と行二つにして一つ、一つにして二つ、王陽明知行合一の説、固より自ら當る所ありと云へども、是れ等の所に至りては、知先にして行後とせざれば明らかならず。凡そ人の志を勵まし行を砥するに、學問の工夫を捨てて、唯だ行事一偏にのみ拘泥する時は、的を準ぜすして強弓を引き長箭を放つが如し。其の達する愈々遠くして、其の中る愈々疎なり。

故に知を以て先とせざることを得ず。是れ行を主として學を廢する者の誡めとすべし。又讀書明理のみを専務として、曾て實行實事の上に於て毫も砥勵する所なき者は、的の大小遠近悉く詳審すと云へども、未だ曾て弓を把りて體を習したることなきが如し。一旦矢を放つ、其の遠きに及ぶっこと能はざるは論なきのみ。故に行を以て重しとせざることを得ず。是れ學を主として行を廃する者の誡めとすべし。然れども是れ吾が徒小人知行偏廢の弊を言ふのみ。其の實は知にして行を廃するは眞の知に非ず。行にして知を廃するは實の行に非ず。故に知行二つにして一つ、而して先後相待ちて濟すことあるなり。抑々伯夷・井尹・柳下惠の力ありて巧を闕くと云ふ者は、淺近の論に非ず。孔子の巧力俱に全きを以て是れを比して、初めて其の少しきを闕あるをみるのみ。
講孟箚記24.5.15


孔門の諸子、顏淵・閔子・冉牛の體を具して微なる如き、巧にして力足らずと言ふべし。子夏・子游・子張の一體を具する如き、力ありて巧足らずと言ふべし。後の道を學ぶ者孔子を以て宗とすれば、巧力俱に至り知行兼ね進むべきは勿論なれども、前輩を論じ及び人材を育する如きは、妄りに是れを以て衆人を律することなかれ。
人各々能あり不能あり。

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