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『高杉暢夫を送る序』
【2013/11/02 18:06】 エッセイ
阿部博人さんが『はじめに志ありき』と題した、吉田松陰の本を書いている。この本で、掲題の送序文を口語訳している。読むだけでは、頭の中を通過してしまうので、ワードで打ってみた。こうすると、よく意味が解るのである。これは、松陰が教育的手法に用いた一つで、修行に旅立つ弟子たちに師としてのメッセージである。
尊敬する師から、こうした「贈る言葉」を受けて発奮するわけである。松陰は、何人かの弟子の修行出発にこれを書いたが、高杉晋作(暢夫)この宛の「送序」は教育的見地からも大変評価が高い。高杉の他には「入江杉蔵」への送序文が詩的で、心のこもった文で読む者をして感動を誘う。教育者吉田松陰の人材育成の卓越性の秘訣を垣間見る思いがする。そして名文家としての松陰の横顔が見えるようである。

高杉晋作25.12.07吉田松陰とその門下25.5.6



「高杉暢夫を送る序」(現代語訳)

私は嘗て同志中の年少多才な人物を次々と選び、久坂玄瑞を第一流とした。既に高杉暢夫を得た。暢夫は有識の士である。しかし、その学問はさほど進んでいなく、また頗る意に任せて勝手に振舞う癖があった。そこで私は玄瑞を例に挙げ、暢夫を抑制しようとした。暢夫は甚だ不服とした。しかし、幾らも経たずして、暢夫の学業は俄に進歩し、議論は益々卓越し、同志は皆心服するようになった。

私は事を議する毎に多く暢夫の意見を聞いて決断するようになった程に、その言は侮れないものとなった。ここに於て玄瑞もまたこのことを推し図って、「暢夫の見識には及ばない」といい、暢夫は又更に玄瑞の才を推して、当世無比といった。二人は喜んで気が合ったようだ。私はある時傍らより此れを褒めて、「玄瑞の才は気に基づき、暢夫の識は気に発する。二人が手を携えれば私は何も心配ない」といった。

玄瑞は先に東遊しており、暢夫も今また将に東に向おうとしている。六か月相前後しているだけである。併し天下の形勢は変動すること夥しい。幕府は勅旨に反して外国と和を結んだ。天皇は怒って幕府に対して水戸・尾張・越前の三家と井伊大老を召し賜った。幕府が従うか否かは未だ解からない。天下はこの成り行きを疑い懼れ、左右観望していると言った情勢である。

しかし吾が長州藩は幕府の命を受けて、兵庫に備えることとなった。兵庫は摂津に属し、いわゆる畿内である。畿内の地は、天朝は切に夷狄に貸すことを禁じている。しかし幕府は五港の開港をアメリカに許した。兵庫はその一つである。吾が毛利藩主、吾が藩の要職は征夷の謀を認めず、将に意見書を幕府に提出し、諌争しようとした。ここに於て吾が世子は江戸に居り、その去留が危険視されている。併し武門の大義としては苟も去るべきではない。去って大義に達しなければ、人の譏りを招くということを知らないことだ。暢夫はこの間に議論を行い、多くは私と意見が合った。しかもその精識なるに至っては私の及ぶ所ではない。暢夫が事を議するに当って元は重々しく大事を取っていたものだ。

近頃はその振い発つ様は激しく強く、専ら気を以て行動する者の如くであり、その識が進んだことが解かるのである。玄瑞は先に京都に在って、王事に死ぬ覚悟である。更に東に下るに及んで、大艦に乗り黒竜江に赴こうと謀っている。その事に当っては、難易をものともしない。身を奮って行動しようとするのは何時もこうなのである。しかし私は一人その行動が多岐にわたって失敗してしまうのではないかと憂いている。

暢夫・玄瑞はもとより相互に心を得た者同士である。暢夫の識を以て、玄瑞の才を行えば、気は皆その元より有する所なので、何をか為して成功しないものは無い。
暢夫よ暢夫、天下には才有る者は数多い。併しながら唯一の信頼する同志である玄瑞を失ってはならない。桂小五郎・赤川淡水は私の重んずる人物である。吉田栄太郎と松浦松洞は私の愛する人物である。新しく知り得た入江杉蔵は心を共に出来る者である。この五人の者は皆志士であり、暢夫はこのことを十分に知っている。今幸に江戸にいる。暢夫往け。急いで玄瑞を招いてこのことを伝え、また五人の者に語るのだ。(安政五年)七月十八日
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