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「久坂玄瑞」から「文」への書簡
【2014/04/06 14:06】 エッセイ
「久坂玄瑞」から「文」への手紙①

安政5年冬(楫取家文書)
一筆まゐらせ候寒さつよく候へどもいよいよおん障なふおん暮めでたくぞんじまゐらせ候まいまい文まゐる此よりは何かいそがしく打絶申候みなみな様御無事遊ばしめて度御事に御座候とふそふそ月に一度は六ケ敷候得ば三月に一度は保福寺墓参はおんまゐらせ候申すも疎御用心専に候皆々様えおんつたへ頼まゐらせ候何も後便申候かしく
尚々きもの此うち飯田の使まゐる慥に受取申候                玄瑞
お文どの

久坂玄瑞


註、玄瑞が逝ける肉身に對する切情見るべきなり ○保福寺=久坂家菩提寺 ○飯田=正伯(か) ○お文=久坂の妻、松陰先生の妹 
○以下妻宛書簡は全部楫取家文書による

これを現代語に書き換えると以下のようになる。

一筆参らせ候。寒さ強く候えども、お体無事にて何より目出度き事です。毎々手紙を書いて差し出したいのだが、此の頃は、何かと忙しくて書けません。皆々様、御無事で暮らすように。父祖(先祖)へのお墓詣りは毎月でなくとも、三ヶ月に一度は、久坂家菩提寺の保福寺への墓参を忘れなきよう頼みます。皆さま(杉一族と、村塾生へも?)宜しくお伝えください。またお便りします。かしく。
なお、着物は最近、飯田正伯(玄瑞より遅れて、安政五年九月江戸へ)さんが持参してくれて確かに受け取りました。
「涙袖帖」写真


(晋遊舎・松陰と妹より)

(久坂玄瑞全集556頁にも収載) 大略、このような文意であり、お互いの思いが通っている樣が読み取れる。
久坂玄瑞は、この少し前であるが、短期間のうち(嘉永6年と翌年の安政元年)に、連続して母・富子、兄・玄機、父・良廸を亡くすという悲運に遭遇している。そのために殊更先祖への供養を心掛けていたと思われ、久坂家の菩提寺へのお墓詣りを新妻にお願いしている。
久坂は、文と結婚して三ヶ月後に、大坂、京都を経て江戸へ旅立っている。この手紙は、結婚して一年経過した頃に書かれたことも、念頭に置くとこの手紙の意味と、書かれた背景がより深く理解できるであろう。。この時、「松下村塾の双璧」と称えられた、高杉・久坂ともに江戸藩邸におり、「安政の大獄」の進行を身近に感じながらの日々であったはずである。この後、「師」の松陰に対し、「草莽崛起」の時期尚早を連名で血判した書簡を松陰に送るのだが、松陰は承知せずに、有名な「僕は忠義をする積り、諸友は功業をなす積り」と観望論を非難する。江戸で書かれた高杉達の書簡と、松陰のそれへの非難には一か月の時間的経過がある。だから、松陰は、江戸で起きていることの刻々とした日々の情勢判断がないため、門下生との齟齬を来してしまい、門弟との絶好を叫び、更に絶食するという暴挙で「求死」を試みるのである。松陰全集で「唯一」母・たきの手紙が収載される、劇的な場面である。母、松陰ともに必死の緊迫した日々であったろうと思うと、涙を誘うのである。

実は、ここに悲劇の要因があるのだが、松陰はそれとも知らずに、「草莽崛起」の実践を企て、「間部詮勝」要撃計画を同志とともに実行すべく、萩藩政府に「武器弾薬」の借用を願い出て、逆に「叱責」を蒙り、この後に、2度目の「野山獄収監」となった。しかしこの「藩政府」の判断に対し、理由説明を求めた門下生は、これもまた、処罰を蒙ってしまった。これで実質上、「吉田松陰主宰の松下村塾」は閉鎖となったのである。この時期は、井伊大老の強権発動による「安政の大獄」が進行中で、朝廷をはじめ、三百諸侯を震撼させた、恐怖政治の真っただ中であったことが、「萩藩政府」をしてこのような判断をさせたことも、併せて銘記しておく必要がある。「松下村塾」の「政治結社化」への急傾斜と、現実の齟齬が松陰の人生をさらに悲劇的にしてしまう結果となるのである。
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