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「吉田松陰」の思想とは
【2015/02/03 22:26】 エッセイ
『吉田松陰の思想』

明治維新を牽引した「吉田松陰の思想」は? と改めて問い合わされて即答出来る人は少ないように思う。 何故か?
 それは「日本人が西欧の列強から侵略されないための模索」という、時々刻々に日本を取り巻く環境が変化する情勢にどう対応するべきかを追い求めていたが故に、
視点が時間と共に変容せざるを得なかったということから定めにくいという性格を持つゆえだろう。

吉田松陰25.11.09


吉田松陰と言う人物を研究するにあたって、大切なことは人格や思想の形成に影響を及ぼした個々の経験を追う必要がある。
敬神家の父を持つ家庭に生まれ育ち、五歳で山鹿流兵学師範というとてつもないスケールの大きな学問に取り組まなければならなかった事情も考えなければならないし、
国防というおよそ幼年者には実感できない職務の研究は大きな負担となったであろうことは容易に想像できる。

「国家学」という学問があるとすれば、ほぼそれに該当するであろう。では翻って「国家とは何か」と問うてみても、現実の追認でしかない。
近代国家とは、今日においても厳密には定義できないと思われるが、国家の活動を科学的に探索して、大凡のところしか定義できない。
国家は国境にこだわるものという現象は、現代世界に於て国境紛争が常に未解決で、自国の主張と相手国の主張が一致しない。

中国を例にとって考えて見ると、東西南北にわたって画定している国境線がどこまであるか。
自国の中でも、新疆ウィグル地区をとっても独立の願いを、国家権力という名称の軍事力で抑圧している。
人間の欲望が「無限」であるように、国家的願望は達成されることが少ない。
米国はどうか?アラスカを金銭で購入した。
カリフォルニアとニューメキシコやテキサスを併呑したのは、戦争ゆえである。米国の国旗が当初の十三州の線でデザインされて、以降併呑する毎に星の数が増加する。
勿論、その反対もありうるが、要は力ずくの結果なのだ。


歴史に学ぶ 

吉田松陰が近隣国から「侵略者」の烙印を押されていることは大半の人が知っているだろう。
「神功皇后」の朝鮮征伐を称え、国威発揚を願ったことが侵略者だとされているようだ。
まして、大東亜戦争の最中に「松陰ブーム」が喧伝され、もてはやされた時代を振り返ってみても、帝国主義の急先鋒と解釈される事が多い。

西欧先進諸国からの植民地化を阻止する日本人の使命感に必死に生きた人物が、いつの間にか侵略者というレッテルを貼られている。
国家の興亡は古来、絶え間なく繰り返されてきた。人為的なものである限り、治乱興亡は避けられない。
こうした観点から、「吉田松陰」を考えて見ると稀有な人間像が浮かび上がってくる。
辞世の句を部分的に取り上げて、「吾今国のために死す」ということから見え隠れする人間の命と国家の命を同一線上で捉える事が、果して正しいのかどうか。難しい問題である。

思想で事実をやりくりすることがいかに危険なことか。
もし、そうした人生観で生きるとすれば人間の生命を全うすることは極めて困難だ。
ただ、師である松陰が門下生に「死んで見せた」ことの意義は大きい。
松陰教育の完成ともいえる。
「死して不朽の見込みあらば、いつでも死ぬべし」ということを、門下の高杉晋作に教えた二ヶ月後に、死んで見せた衝撃は、信頼していた師の死に際から多くのメッセージが発せられた。
それなくして、門下生の衝撃的な死の数々は語れまい。

日本のために、誰からも強制されずに「命を捧げた」松陰の生涯と、見えにくい彼の思想の一致点をどこに見出せるのだろうか。
そして、「神」として祀られ、東京と萩に「松陰神社」が二つもある事実。
皇国史観で見る限り「神業」の人生だったのか?そうではない。
生身の人間だったはずである。
要するに松陰の思想は「日本固有の文化」の礼賛に尽きるのかもしれない。
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