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土佐藩における「勤皇」
【2011/03/20 12:09】 エッセイ
冒頭に、その格調高い宣言書を掲げる。

土佐勤皇党血盟
盟白

堂々たる神州、戎狄の辱しめをうけ、古より伝はれる大和魂も今は既に絶えなんと、帝は深く嘆き玉ふ。しかれども久しく治れる御代の、因循委惰といふ俗に習ひて独りも此心を振ひ挙て、皇国の禍を攘(はら)ふ人なし。かしこくも我が老公(山内容堂)夙に此事を憂ひ玉ひて、有司の人々に言ひ争ひ玉へども、却てその為めに罪を得玉ひぬ。
斯く有難き御心におはしますを、など此罪には落入玉ひぬる。君辱かしめを受る時は臣死すと。況(まし)てや皇国の今にも衽(おくみ)を左にせんを他に見るべき。彼の大和魂を奮ひ起し、異性兄弟の結びをなし、一点の私意を挟まず、相謀りて國家復興の万一に裨補(ひほ)せんとす。
錦旗若し一たび揚らば団結して水火をも踏まむと、爰(ここ)に神明に誓ひ、上は帝の大御心をやすめ奉り、我が老公の御志を継ぎ、下は万民の患をも払はんとす。左れば此中に私もて何をかくに争ふものあらば、神の怒り罰し給ふをも待たで、人々寄つどひて腹かき切らせんと、おのれが名を書きしるし、おさめ置ぬ。
武市半平太小楯
文久元年辛酉八月
武市半平太24.4.24




これは、土佐勤皇党結成の時の「盟約書」である。
大変な名文であるからして、特にここに記事として紹介したい。幕末維新期には、いくつかの名文があるがこれはその一つである。しかも、教養ある格調高い文章である。
実は、この盟約文は郷士で土佐の国の生んだ篤学者で万葉学者の「鹿持雅澄」の門下生「大石弥太郎」の筆になるものである。「天下の名文」といってよいだろう。

幕末維新期にあって、志士として活躍し、名を馳せた人物は残念ながら「薩長」に比して土佐人は少ない。
これは、土佐藩の成立と関係がある。長曾我部氏が関ヶ原の戦いで、反徳川軍(西軍)に立ち、敗者となってしまい、徳川方(東軍)で戦功を挙げた山内一豊が遠州掛川の六万石大名から、一躍、二十四万石の大大名となって襲封したことから、山内家は徳川恩顧の念が強く、反幕府思潮が生まれにくかった事情によるものである。丁度、島津氏や毛利氏が西軍で敗者の立場にありながら、知恵の限りや、破れかぶれの奇策で大名として生き残ったのと正反対である。
それ故、幕末では薩長に後れをとったばかりか、徳川治世下で貧乏くじをひきながら生き抜いた「郷士」(長曾我部の家臣)達しか、反幕府感情が生成しにくかったという土佐藩特有の藩事情があった。

この、血盟のリーダー武市半平太とて、郷士の最上級の「白札」で上士ではなかったのである。だから、土佐勤皇党は、山内容堂の号令で執政の「吉田東洋」の藩政改革の下、冷や飯を食わざるを得なかったが、武市の画策で吉田東洋暗殺指令が出され、それが実行された。藩風は変わったが、東洋が藩主山内容堂の股肱の臣であったことから、容堂の怒りは収まらず、遂に下手人の総本山と目された武市が断罪の運命をたどったのはNHKの大河ドラマで記憶に新しい。武市半平太、坂本竜馬、中岡慎太郎は土佐の志士としての三羽烏だが、いずれも「郷士」であった。幕末維新期の「土佐の三傑」ともいうべき有能な志士を維新前に失ったことは、大変に残念である。維新後の薩長と土肥の隔たりに一因になったとも考えられる。

そもそも、革命的な変革は反体制側の人間にしか発生しない。土佐の郷士は、二世紀半もの長きにわたって藩主、山内家の下で耐え抜いて来たのである。幕末維新期で志士として活躍したのは、大半が下級武士または草莽の志士(庄屋レベル)の階級の人々であった。三傑の中では、坂本竜馬が際立ったイメージがあるが、それは単なる印象で、周旋能力は中岡慎太郎や武市半平太は竜馬以上と評する伝記も多い。しかし誠実で地味な人柄ということもあって存在感は竜馬のほうが上回るのは、司馬遼太郎のなせる業かもしれない。有名な「薩長同盟」の立役者は、実は中岡慎太郎の活躍を高く評価する書物は多いのである。ただ、要領よく急所をついて「ここ一番」にみせた、竜馬の「立ち回りの要領のよさ」や「勘の鋭さ」も、また竜馬の能力の一つであることは間違いない。
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