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「諸生に示す」
【2011/04/10 17:35】 エッセイ
 松陰全集第四巻357頁収載(戌午幽室文稿)
安政五年六月二十三日(1858)

先に書いた「煙管を折るの記」は松下村塾の塾風を知るのに、貴重な資料であったが、この「諸生に示す」は、集団教育に対する松陰の考え方を知るのに好都合な資料である。

松陰は、塾生を「諸生」または「諸友」と呼んで「師弟」の考え方をとらず、対等な人間として遇した。尊敬する「師匠」から尊大ぶった呼称でなく、一人の人間としての尊厳を表す言葉で呼びかけられた塾生にとって、身分制度の厳格な時代に、「足軽」、「中間」や庶民も対等に扱ってくれる師の思いは尊敬に値するものであったに違いない。松陰の人間に対する平等観で、「相扶持」、「相労役」の用語が示すように、幕末期にあって彼が特異な先進性をもった人物であったことがわかる。
書生に示す24.3.25




階級社会の厳然としていた時代に、人格を尊重した「師」としての松陰の態度は、下層階級の人間にとって斬新な響きを以て受け止められ、国家社会に役立つ人間の尊厳を認識する契機となったものと思われる。また、これとは別に松陰の著作に「討賊始末」と題して40頁に及ぶ記事がある。これは江戸期の身分制が厳格な時代に、最下級の身分であった「烈婦」の行為を称えたものである。ここにも、松陰の人間の平等観が見られるのである。これを書くにあたって「士分」であった松陰の自宅に宿泊させて事件の顛末を調べたのであった。
フランス革命の「人権宣言」を読むような思いがさせられるのである。
松陰はそれだけ時代に先んじていた思想の持ち主であった。それゆえに革命児と徳富蘇峰は松陰を評したのである。


ではこの原文を下記することにする。長文だが我慢して読んでみて下さい。

村塾、礼法を寛略し、規則を排落するも、以て禽獣夷狄を学ぶに非ず。以て、老荘竹林を慕ふに非ざるなり。特だ今世礼法の末造、流れて虚偽刻薄となれるを以て誠朴忠実を以て之れを矯揉せんと欲するのみ。新塾の初めて設けれるるや、諸生皆此の道に率ひて以て相交はり、疾病艱難に相扶持し、力役事故には相労役すること、手足の如く然り、骨肉の如く然り。増塾の役、多くは工匠を煩はさずして、乃ち能く成ることあるは、職として是れに之れ由る。

吾れ嘗て大和の谷翁三山を訪ふ。三山曰く、「吾れ充耳を以て学を畎畝に講ず、喜ぶ所は諸生相親愛すること、兄弟骨肉の如く然り」と。因って数事を挙げて之れを誦ふ。余、時に歆羨已まず、謂へらく亦有徳の言なりと。数々諸生の為めに之れを道ふ。諸生幸に深く此の意を諒し、久次相授ふ。広川の門と雖も以て加ふるなし。因って謂へらく是れ難からずと。
又嘗て王陽明の年譜を読む。謂へらく、其の門人を警発するや、多く山水泉石の間に於いてすと。窃かに其の理に服せり。吾れは陽明に非ざるなり。然れども朋友の切磋亦当に斯くの如くなるべし。ここを以て会講連業、未だ嘗て縄墨を設けず、交ふるに諧謔滑稽を以てすること、匡稚圭が詩を説くの故事の如し。近くは米をつく舂き圃を鋤くの挙の如き、亦此の意を寓するのみ。撃剣.踏水の二事に至りては、武技の最も切要なるもの、時方に盛夏、辺警又殷んにして、一日も弛うすべからず。然れども徒らに視て遊戯と為し、実用を尚ばず、光陰を消し、学業を荒るも、又慮るべきなり。之れを要するに学の功たる、気類先づ接し義理従って融る。区々たる礼法規則の能く及ぶ所に非ざるなり。学者自得する所なくして、呶々多言するは是れ聖賢の戒むる所なり。沈黙自ら護るは、余甚だ之れを醜む。凡そ読書は何の心ぞや、以て為すあらんと欲するに非ずや。書は古なり、為は今なり。今と古と同じからず。為と書と何ぞ能く一々相符せん。符せず同じからざれば、疑難交々生ぜん。悔悟時あり、乃ち同友相質すこと、寧んぞ已むを得んや。然らば則ち沈黙自ら護る者は、自得語るべきものなきに非ずんば、則ち人を以て語るに足らずと為すなり。吾が志は則ち然らず。巳に語るものなくんば則ち已むも、苟も語るべきものあらば、牛夫馬卒と雖も、将に与に之れを語らんとす。況んや同志をや。諸生村塾に来る者、要は皆有志の士、又能く俗流に卓立す、吾れ憾みなし。然れども意偶々感ずる所あり。故に聊か之れを云う。六月二十三日、二十一回生書す。

この文を読んで松陰に感服するのみである。
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